Column2017/01/18

【Column-032】 [光り輝く街で-21]  『ポルトガルにて』

 

 VfBシュトゥットガルトは現在、ウインターブレイク期間中にポルトガル南部のラゴスでミニキャンプを張っている。

 

 シュトゥットガルトはウインターブレイク前のブンデスリーガ2部で3位。中断期間に入る前は連敗を喫し、自動昇格圏内の2位から転落してしまった。ハネス・ヴォルフ監督は巻き返しを図るべく、今回のブレイク期間中にチームコンセプトを確立させたい思いが強い。そもそもヴォルフ監督はヨス・ルフカイ監督が突如監督辞任を表明したことで急遽シーズン途中にシュトゥットガルトの指揮官に就任したことでチーム戦術を浸透させる時間を十分に与えられていなかった。今回のウインターブレイクはまさに監督の指針を周知徹底させる格好の機会であり、ポルトガルでの日々は貴重だ。

 そんな中、細貝萌はまたしても試練の時を過ごしている。日本での束の間の休息を終えてドイツへ帰国してチームに合流した彼は、その後に実施されたFCケルンとのトレーニングマッチで左足ふくらはぎを強く打撲し、その後患部を出血していることが判明した。その影響でケルン戦翌日から開始されたポルトガルキャンプで一時別メニューに努めて3日後にようやく全体練習に合流し、当地での練習試合にも途中出場で20分間プレーして回復をアピールした。

「練習試合は『無理をしなくてもいい』と言われたけども、ラスト20分はできると判断して直訴して出場した。何も問題はなかったので、今後は皆と一緒に全体練習に参加できると思う。今季はケガが続いているので、どうしても慎重になってしまう。ただ、今回も、これまでのケガも全力でプレーした結果なので仕方がないことでもある。ただ、相手との競り合いで当たりに行かないことでケガを回避できる反面、失点に繋がるような結果になったら後悔しきれない。自分としては本番のゲームでは常に全力でプレーする。その分、事前に細心の準備を図るようにしないとね。自分も30歳になって、若い頃とは身体の状態が違うから、その点は考慮しないといけない」

 

 昨年のケガ同様、戦線離脱したことでの細貝のチーム内での立場は未だ不透明だ。ヴォルフ監督とのコミュニケーションは密接だが、それでもフル稼働できない状況でレギュラーが確約されていない。


 

「それでも、自分には今までの経験があるから、常に自信を持ってプレーし続ける。試合に出る、出ないは監督が決めることで、選手はピッチに立つ機会を与えられた時のために準備し続けなきゃならない。試合に出られなくて落ち込んでいる暇なんてないよ。自分の母国とは異なった環境で、こういった経験も出来る今の環境に感謝しているぐらいだから。ヴォルフ監督が選手に要求する項目は多くて、そのレベルも問われている。選手は監督のリクエストに応える義務がある。シーズン当初に師事したルフカイ監督のことはアウグスブルクやヘルタ・ベルリン時代に共に戦ったことがあるから完全に理解していた。でも、今はヴォルフ監督の下でプレーしているわけだから、監督の戦術をしっかり理解して、チームの中で機能できる選手にならなきゃならない。これも貴重な経験で、選手として乗り越えなきゃいけない課題だと思っている」

 

 ポルトガルキャンプでの細貝は一人部屋を与えられているという。

「これまでは基本的に(浅野)拓磨と同部屋になることが多かったんだけど、今回は一人なのもあって今まで以上にマイペースで過ごしているよ。朝食は各々9時までに摂ればいいんだけど、自分は早起きなので日が昇る前に活動を始めて、7時過ぎには誰よりも早く朝食の会場に行ってご飯を食べているしね。その後は練習まで時間があるから、本を読んだりDVDで映画を観たりして過ごしているよ。元々団体行動は嫌いじゃないんだけど、プロはひとりで過ごす時間も与えられているから、まったくストレスは感じないね。ちなみに拓磨も順調にキャンプのメニューをこなしているよ。彼は性格が良いから周りに人が集まってくる。今のところ、何の問題もないし、僕も彼から色々なことを学んでいるよ」

 シュトゥットガルトは日本時間の1月29日にウインターブレイク明け初戦のアウェー、ザンクト・パウリ戦に臨む。