Column2017/09/26

【Column-050】 [太陽の下で-13] 『ケガからの復活を期す』

 

 細貝萌は左足ふくらはぎの肉離れで別メニュー調整を続けていた。8月26日のJリーグ第24節・アルビレックス新潟戦でベンチ入りも出場機会がなく、その翌日の練習試合でケガを発症。MRI検査などを受けて患部に出血が見られたため、慎重を期してリハビリ生活を過ごしていた。

 

「ふくらはぎの出血は初めてのことだった。基本的にこれまではケガが少なく、肉離れも30歳になってから2回‥。だから自分でももっと早く復帰出来ると思っていたんだけど、チームドクターとも話し合って、時間が必要だと判断した。リハビリは辛いけども、ドイツから柏へ来てからは休みなくプレーしてきて、様々な要因で違和感を覚えていたから、一旦休むことも必要だったのかもしれない。ここに来た当初は安定したプレーができていたと自覚していたけど、時間が経つ毎に試合に出れなかったことで、身体が重くなってきて、一つひとつのプレーに力が入らなくなっていた。新たなチームに来て環境やチーム戦術が全て変わったわけだけど、思うように順応出来ていないのが事実。やっぱり試合に出ないとコンディションを保つのは非常に難しい」

 

 本人が吐露するように、三十路を迎えてからの細貝は、今まで全く怪我をしかなったことを考えれば格段にケガが増えた。20代の頃は試合での対人プレーで相手選手を吹き飛ばしても、自身の身体にダメージを負うのは稀だった。しかしベルリンで不遇を囲い、トルコ・ブルサで異国の地へと環境を変え、再びドイツ・シュツットガルトで新たな挑戦を始めてからは負傷離脱が続いた。それは日本へ戻り、柏という新たなチームでプレーするようになってからも変わらず、本人も驚くほどにコンディションを崩し、イメージとは異なるプレーの連続に思い悩んだ。

 

「リハビリでは筋力トレーニング、バランストレーニングばかりしていたね。最初はそれしかできないから。ただ、それによって心身のコンディションが回復していく手応えを掴めた。これまでは自分が思っていた以上に身体のバランスが崩れていたみたい。身体の状態が整わず、試合勘もない中でもがいた結果、今の厳しい境遇を招いた。もちろん、その間に落ち込むこともあったけど、コンディションを取り戻すことでポシティブな考えを持てるようになった。それにトレーナー陣も必死に身体を診てくれた」

 

 極限の中で戦うプロサッカー選手は、思考と身体が密接にリンクしている。どんなに身体の調子が良くても、気分が落ち込んでいてはプレーに推進力をもたらせない。逆にコンディションが悪ければネガティブな思考との相乗効果でケガを誘発し、取り返しのつかない事態をももたらす。確かに今の細貝は所属チームでの立場が苦しく、挽回を図るべき境遇でもある。それでも、今一度立ち上がり、もう一段ステップアップするには、そのための準備を入念に行わねばならない。

 

「ようやくチームの練習にも部分合流することができた。今は自分のやれることをやっていきたい。自分の力をチームに還元させられる時が必ず来ると信じてやるしかないからね。その時に、しっかりとプレーできるかどうかは今の自分の過ごし方次第だと思う。何かにトライするにしても、それは自分のストロングポイントを生かしてチームに貢献するため。無理矢理チーム戦術に当てはめるのは、少しやめて良いかもとも思っている」

 

 先日、ドイツ・ブンデスリーガ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフvsユニオン・ベルリンでデュッセルドルフの宇佐美貴史がゴールし、ベルリンの内田篤人が移籍後初出場して相手のオウンゴールを誘発するクロスを送って手応えを掴んだ。宇佐美、内田は共に、細貝がドイツでプレーしていた時代に親交を温めた選手たちだ。

 

「宇佐美はバイエルン、ホッフェンハイム、アウクスブルクで苦労していたのを知っている。その時には彼の相談にも乗ったし、僕自身のことを話したりもした。今回、彼がゴールした後はもちろん連絡したよ。また”ウッチー”は約2年間も膝のケガでプレーができず、本当に悩み苦しんだと思うけど、新天地のベルリンでようやく再起を図れた。彼ともドイツ時代はお互いの家族と共に交流していて、今回ベルリンへ移籍する際も住居などのことで奥さん含め話したりしていたよ。ふたりの復活は僕にとって本当に励みになる。今の僕は苦しい状況を克服して前に進む勇気を彼らから与えられている。彼らみたいな選手が活躍するのは本当に嬉しい。まあ、彼らからしたら、僕に対して『お前もしっかりやれ!』ぐらいのメッセージなんじゃないかな。悔しいけどね、それは(笑)とにかく自分らしく前進したいと思ってる」

 

友の勇姿も心に刻んで、細貝萌は今一度、柏での貢献を心に期している。

 

 

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