Column2016/06/25

【Column-007】緑の風-07 待望の愛娘誕生

 

 細貝家に待望の第一子が誕生した。2016年6月10日。2972グラムの女の子。予定日よりも1週間以上早かったが、母子ともに健康で、今は病院から自宅へ戻り、家族全員での生活をスタートさせている。

 細貝萌がヨーロッパでのシーズンを終えて日本へ一時帰国したタイミングで誕生したかけがえのない娘に対し、細貝は「本当に親孝行な子だと思う。しかも、誕生日が僕と一緒。本当に奇跡だなと思う」と話す。また、愛すべき我が子を出産した妻に対しても感謝の念が尽きない。

「定期検診に行って、『生まれるまでは、もう少し掛かるかもね』と言っていた日の夜に陣痛が始まった。それから約18時間、常に一緒に居たけど、男の僕は何もすることができない。陣痛の痛みで大変な妻の姿を見ているのに、何もできない。本当に歯がゆかったけど、無事に出産した時は本当に嬉しかったし、妻には『本当にお疲れ様』と言いたい」

 父親としての実感はまだあまりないと言う。しかし愛娘を得たことで、自らを育ててくれた両親への思いも深まった。

「両親も僕のことを一生懸命育ててくれた。自分がここまで育ったのは親のサポートがあるから。両親は自らの子どもだからと、今でも僕をサポートし続けてくれている。親への感謝の気持ちは忘れちゃいけない。自分が父親になったから、それを一層思うようになった」

 今、細貝は愛すべき家族とともに安息の日々を過ごしている。

 一方で、プロサッカー選手の細貝は来シーズンへ向けた準備を着々と進めている。来季、自らが闘う舞台はまだ決まっていない。それでも、いつでもサッカーをプレーできるように心身のケアを怠らない。今は午前5時には起床し、7時にはジムで筋力トレーニングに励む。そして9時半には一日のメニューを終えて休息に努める。元々細貝はシーズン中も朝型の生活を送っていて、太陽が昇る前に活動を開始し、日が暮れる前には身体を休める。

「夜型の人もいるけど、自分の場合は朝の取り組みで一日の充実度が測れると思っている。朝の空気って澄み渡っていて気持ち良いでしょ。その空気を身体中に吸い込むことでパワーを得ているイメージ。今はオフだし多少睡眠不足でもね(笑)」


 

 先日、ガンバ大阪に所属する宇佐美貴史のドイツ・ブンデスリーガ・アウクスブルクへの完全移籍が発表された。宇佐美とは彼がバイエルン・ミュンヘン、細貝がアウクスブルクに在籍していた2011年当時に交流を温めた。

「ミュンヘンとアウクスブルクは近いので、車で1時間くらいの距離にある。宇佐美がドイツに住んでいた頃はたまに会って近況を話し合っていましたね。宇佐美と僕の妻同士も仲が良いので、お互いに切磋琢磨し合えた仲間だね」

 今回宇佐美が移籍するアウクスブルクは細貝がかつて在籍した古巣でもある。

「アウクスブルクはロマンチック街道の終着地で、歴史ある綺麗な街。当時の自分は日本を離れて初めての海外がアウクスブルクで、現地の言葉も分からず、ドイツのスタイルに馴染むのが大変だった。でも、今の宇佐美には経験があるから大丈夫。何も心配はないのではないかな。今のアウクスブルクには韓国代表のク・ジャチョルもいて、僕もたまに彼と電話で話すし、メールもする。他にもアウクスブルクには韓国代表選手がふたりいて、これで宇佐美が来れば、チーム内にアジア人が4人になる。かつて僕がアウクスブルクに移籍した時はアジア人が僕ひとりしかいなかった。その意味では、今のアウクスブルクでアジア人の力が評価されているのは素直に嬉しい」


 

 また細貝は今、古巣である浦和レッズのことも気にしている。AFCアジア・チャンピオンズリーグではノックアウトステージのベスト16で敗退したものの、Jリーグでは熾烈なタイトル争いを展開しているチームに注目している。特に、群馬県出身の同郷である青木拓矢のことを気にかけている。

「青木くんは僕の4歳下だけど同じ前橋育英高出身で、中学生時代のサッカークラブの恩師も同じ。つまり、僕と青木くんはサッカーをプレーして成長してきた土壌が同じで、僕にとってかけがえのない後輩だと思っている。当然自分が浦和に居る頃から前橋育英の青木くんのことは知っていたし、僕と同じポジション、ボランチでプレーしている姿も見ていた。1年前に日本へ一時帰国した時は梅ちゃん(梅崎司/浦和)と一緒に食事もした。浦和レッズでプレーする、レッズのボランチでプレーするのは大変なことであると同時に、とても素晴らしいことでもある。以前、僕が埼玉スタジアムで浦和のゲームを観た時、青木くんがスタメンでボランチで出場していた。その時に、彼は素晴らしい選手だと思ったし、今後チームを力強く引っ張っていくと思っていた。知人から元気が少しないって聞いたけど、僕は今の彼にも、とても期待している。やっぱり頑張ってほしいよね。」

(続く