Column2017/06/3

【Column-045】 [太陽の下で-08] 『その先の未来へ』

 

柏レイソル加入後の細貝萌の先発出場はYBCルヴァンカップに限られている。しかしルヴァンカップでの柏はグループステージをあと1試合残して1勝2分2敗の勝ち点4で、すでに準々決勝へ進出できるグループ首位に立てず、AFCアジア・チャンピオンズリーグに出場中の鹿島アントラーズ、浦和レッズ、川崎フロンターレ、ガンバ大阪のいずれかと準々決勝進出を懸けて争うプレーオフに進める2位、もしくは3位以内の確保も逃してしまった。ルヴァンカップの大半の時間でピッチに立ってきた細貝にとっては痛恨の成績である。

 

ただ、グループステージ第6節・FC東京戦での細貝のパフォーマンスには十分評価できる点も多かった。彼のポジションは栗澤僚一と組むダブルボランチだったが、攻撃時に味方バックラインの位置まで降りてビルドアップに加わっていた。いわゆるアンカー的な役割だが、ドイツ・ブンデスリーガのシュトットガルトやトルコ・スーパーリーグのブルサスポル時代にはほとんど見られなかったプレーである。ドイツやトルコでは中盤にスペースを空けてアンカーが味方バックラインまで降りるプレーを奨励されず、むしろ孤立してでも中盤でプレーし続けることを要求される。しかし現在のJリーグでは4バックを形成するチームが攻撃時に3バックへ可変し、サイドバックを高い位置へ押し上げてサイドエリアでの数的優位を生む戦略を採るチームが増えてきた。細貝としてはサッカースタイルの違いに戸惑うところもあるだろうが、傍目から見るとボールの受け方はスムーズで、プレー選択にも迷いはないように思われた。

 

自陣深くでのボール捌きにはリスク管理と安定性が求められる。ファースト・プライオリティはボールを失わないことで、次にフリーでボールを受けられる選手へのパス供給、ドリブルでボールを持ち出して自らアクセントを付けるなど、戦況によってプレー選択肢が変わっていく。その中で細貝が常に心掛けていたのは必ず前を向いて敵陣を見据えること、そして簡単にボールを味方に供給していくものだったように思う。フィールドプレーヤーの最後尾に位置する者はピッチ上で広角な視野を取らなければならない。そこで細貝は、味方からパスを受けた瞬間にピッチ全体を観察できる態勢を整えていた。全方位からプレッシャーを受けてもすぐに適切な判断を下せるように、彼は基本に忠実なプレーを繰り返していたのだ。

 

しかしFC東京戦での柏は、72分に徳永悠平のクロスから前田遼一にヘディングシュートを決められて1−0で敗戦してしまった。これでチームはグループステージ敗退が決まり、早くもシーズンの一冠を逃してしまった。

今季の柏はリーグ戦とルヴァンカップでターンオーバー制を敷いている。リーグ戦で常時先発出場しているキャプテンの大谷秀和、若手有望株の手塚康平、攻撃の一翼を担う中川寛斗、武富孝介らはルヴァンカップでベンチへ回り、代わりに細貝、ハモン・ロペス、ディエゴ・オリベイラ、ドゥドゥ、栗澤、小林祐介、今井智基らに先発機会を与えられたがチームとしてリーグ戦のような力を発揮できていない。

 

一方で、チームはJリーグで破竹の勢いを見せ、第12節を終えて首位・ガンバ大阪に勝ち点1差に迫る2位にランクアップ。そして第13節では7連勝を懸けて最下位に苦しむ大宮アルディージャをホーム・日立台(日立柏サッカー場)で迎え撃った。ただし細貝は、これまでと同様にリーグ戦ではベンチスタートである。

試合開始2分、柏はセットプレーから大宮の河本裕之に先制ゴールを許す。しかし40分に相手GKのミスを突いて伊東純也が同点ゴールをゲット。59分に竹富がヘディングシュートを打ち込んで逆転を果たすと、竹富は64分にもクリスティアーノのヘディングシュートに反応してボールを押し込み3点目をマーク。67分にクリスティアーノがダメ押しの4点目を決めると、試合の趨勢はほぼ決まった。

3点のセーフティーリードを得た79分、細貝はいつものように手塚に代わって途中出場でピッチに立った。しかし彼はチームの勢いに乗りきれなかったように見え、集中力を切らしたプレーで失点に関与してしまう。85分、自陣バイタルエリアで相手ボールホルダーの瀬川祐輔へ付こうとしたが、一瞬アプローチが遅れてしまったのだ。

「プレッシャーを掛けてる最中に、味方のセンターバックである(中谷)シンが縦のコースに入っていたのがわかり、僕は相手の前に寄せ切ってしまうと横パスや、そのままかわされる可能性があると思ったから、あえて横からプレスを掛けて距離を縮めていく選択をした。でもその結果、シンとの意思疎通が図れずにシンがその場に留まったところで相手にトラップされ、すぐにシュートを打たれて失点してしまった。普通なら僕がコースに入ることで防げるようなシーンだったけど、あの一瞬の間にいろいろ考えすぎたことでミスが起きた。あの時は本能のままに動けなかった」

 

細貝はルヴァンカップで結果を果たせない状況を引きずっていたのかもしれない。リーグ戦の主力メンバーが連勝を重ねている中、自らが出場するゲームは一緒にプレーするメンバーがほぼ違い、結果が出ず苦戦している。その現状がもどかしい。

「ルヴァンカップとリーグ戦ではほとんどメンバーが違うから、全く異なるチームで試合をしている感覚も少しはある。特にルヴァンカップでは前線に2,3人の能力のあるブラジル人選手が出場するから、彼らの個性を生かすようなプレーを心掛けているんだけど、中々手応えを掴めない。味方選手云々というよりも、自分がチームに貢献を果たせていない感覚がある。その中でリーグ戦では後半途中、時には試合終了直前に出番が来て、その状況の中で自分をうまくコントロール出来ていないのかもしれない。とても不甲斐ない。チームは好調でこれをキープしていかなきゃいけない中で、自分も一つのピースとならなくてはいけない」

柏は続くルヴァンカップ・グループステージ最終節のコンサドーレ札幌戦も1−2で敗戦してしまった。細貝は2点のビハインドから宮本駿晃のゴールで追撃態勢に入った74分に途中交代を余儀なくされた。またしても不本意な結果を受け入れた今、彼は何を思うのだろう。

柏は大宮戦に勝利してJリーグで暫定首位に立った。次節の対戦相手は細貝がかつて在籍した浦和だ。古巣との一戦で何かを変えられるか、まさに正念場である。

 

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Column2017/05/18

【Column-044】 [太陽の下で-07] 『理想郷へ』

 

 Jリーグ第11節。柏レイソルはFC東京に2−1で勝利して5連勝を達成し、勝ち点を21に伸ばして首位・浦和レッズと勝ち点1差の3位にランクアップした。

 シーズン序盤は勝ち星を挙げられずに苦しんだチームが劇的な変化を遂げている。今季途中から柏に加わった細貝萌は、今のチーム状況を高く評価している。

 

「まず結果が出たのが重要なこと。チーム全体でしっかり勝ち点を取れた。自分がここに来るまでは下位に沈んでしまっていたわけだから、確実に変化しているよね。FC東京戦に関しては試合内容も良かったと思うし、実際ピッチ上に立ってた選手は、ある程度イメージしていたサッカーができたと思っているんじゃないかな。ここまで順位が上がってきた要因のひとつに、チーム全員で球際のアグレッシブさを貫いていることは関係していると思う。間違いなく激しくなった」

 

 一方で、細貝の置かれる境遇は厳しい。ほとんどのゲームで試合出場を果たしているものの、Jリーグのゲームではすべて途中出場に留まっている。FC東京戦に至っては1−0でリードしている後半アディショナルタイムの91分にピッチへ立って数分間プレーしただけだった。またYBCルヴァンカップは3試合連続でスタメン出場しているが、チームはまだ一勝も挙げられていない。リーグ戦で好調を維持するチームの中で、バックアッパー的役割を担う細貝は忸怩たる思いを抱いている。

 

「今は(中山)雄太がU-20日本代表に招集されたことで、Jリーグ、ルヴァンカップを合わせて試合数で言えばチームの中で自分が一番出場しているのかな。ただリーグでは途中出場で、ルヴァンカップは先発出場と、大会の中で自分の担う役割が完全に変わっている。30歳になった僕はオンザピッチでも、そしてオフザピッチでも自らが果たすべき役目があると思っている。置かれる状況、背負う役割は理解しているつもりで、年齢や立場を考えて振る舞うことでチームが良い方向へ向かえばいいと思っている。その意味では、今は単純に試合に出て、自分自身が充実していれば良いとは思っていないんだよ。もちろん僕も選手だから、できるだけ長い時間プレーしたいと思う。でも、どのような形でも、どれだけチームに貢献していくかが重要だと思っている」

 

 経験を重ねたことでチーム全体を俯瞰して観察できるようになった。一時の感情を安易に晒してもチームにとってプラスにならない。細貝は自らに言い聞かせるように、己の役割を反復しているように見えた。

 ただ言葉の端々に、その抑揚に、彼が抱える辛苦とジレンマが垣間見られる。感情を制御すればするほど隠し持つ本音が顔を覗かせてしまう。現状で満足しない飽くなき向上心こそが自らを支えてきた根源。その信念はやはり隠せない。

 FC東京戦では後半アディショナルタイムに細貝が投入された瞬間に相手のゴールを許した。試合終了直前に自らがピッチに立つ意味を理解しようともがくも、答えが出ない。チームの勝利を大前提に考える選手にとって、自らの力がチームに還元されないことほど悔しいことはない。一方で、ルヴァンカップで先発し、リーグでは僅か数分間の出場時間に留まる己の立場を理解もできた。どんなシチュエーションでもチームのために全力を尽くす。その動機を無くしたら自分ではなくなる。自問自答を繰り返しながら、それでも彼は、今できる精一杯の尽力をする覚悟がある。

 

「FC東京戦では監督が考える、今の僕の立場が理解できたかな。だからといって僕は何かを変えることなど一切ないよ。リーグとはメンバーがガラッと変わるルヴァンカップでは、僕らはまだ一勝も挙げられていないからね。先発出場している自分は、その事実を受け止める責任があるし、ここから奮起して成績を向上させる努力が必要だと思っている」

 

 悔恨を力に変える。内に眠るパワーをポジティブに発現する。それが柏の栄光へと繋がれば至福の喜びとなる。2017年の細貝萌は、厳しい道程を歩き切った先に究極の理想郷があると信じている。

 

 

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Column2017/05/8

【Column-043】 [太陽の下で-06] 『クローザーとは?』

 

 Jリーグ第10節。柏レイソルはセレッソ大阪に1−0で勝利してリーグ戦4連勝を果たした。これで柏は、首位・鹿島アントラーズと勝ち点3差の4位へランクアップしてタイトル争いに参入してきた。  

 細貝萌が柏へ加入してから、チームはリーグ戦で4勝1敗の好成績を残している。これについて、本人はどう感じているのだろう。

「ここまでの結果を見れば、当然チームはある程度評価されていいと思う。実際にプレーしている側から見ると、勝利できている理由をひとつだけ挙げるのは難しいけども、良い方向に向かっているのは間違いない。その原動力のひとつに柏サポーターの存在があるのも大きいと僕は感じている。先日のセレッソ戦に関しては、前半はあまり内容が良くなかったけども、辛抱強く戦うことで勝ち点3を取れたと思う。チャンスはあまり築けなかったと思うけど、我慢を重ねることでゴールが生まれる余地も生まれる。それでもゴールはゴールだからね。流れが悪い時に崩れることなく戦えていることはポジティブに捉えられるよね」 

 

 リーグ戦での細貝は、敗戦を喫した第6節の清水エスパルス戦で不出場に終わった以外はすべて後半途中から出場している。ボランチポジションの選手が後半途中にピッチへ立つ意味。それは得点を求められる前線の攻撃的な選手と比べると、かなりの差異がある。30歳の彼は今、自らに与えられるタスクを深く熟考して、忠実に実行しようとしている。


「周りは今の僕の役割を『クローザー』と評するよね。それが日本での呼び名なのかな?(笑)クローザーと言ってもここ数試合、僕がピッチに立った時のシチュエーションは試合毎に必ず違う。例えば第7節のヴィッセル神戸戦は同点の状況で、他の試合はリードしている時に僕はピッチに立った。その際、対戦相手の陣容は必ず違うし、相手選手も、そして各チームの戦術も違う。そして各試合で僕が出場する時間帯も違うわけだよね。そうなれば当然僕が実行すべき役割やプレー判断にも変化が生じる」

 

 細貝が考えるプレーディティールは興味深い。これは長年プロサッカー選手としてプレーしてきた者しか携えられない、熟練した思考なのかもしれない。彼は、その考えの一端を明かしてくれた。

 

「セレッソ戦では1−0で勝っている状況で約20分間プレーした。この時間帯はもちろん、しっかり守ってゼロで終わろうという共通認識だよね。だけどその中で、僕のようなタイプのボランチの選手と、その他のポジションの選手とではプレー選択が異なることもある。具体的な例を挙げると、例えばこの試合では左サイドで自分がボール受けた時にワンタッチでボールを戻し、そのまま前へ走れば少しでも高い位置でボールを受けられるようなシーンがあった。普段の状況なら、僕はそのプレー選択をしていたと思う。もしかしたら、そこで僕がアクションを起こしたことで前線に繋げてゴールできるかもしれなかったからね。でも1−0でリードしている流れの中で、そのプレー選択をするのはどうなのかと思った。当然セレッソはパワープレー気味に仕掛けてきていて、何としても同点に追いつきたいと思っていた。前線にはクニ君(関口)、(柿谷)曜一朗、キヨ(清武弘嗣)、(山口)蛍、杉本(健勇)くんなど、いつ得点してもおかしくない素晴らしいタレントがいる中で、ボランチの自分がわざわざアクションを起こす必要性があるのか。それに、もし僕が前へ走ったところでボールを奪われたら、結果的に守備組織が崩れて相手に得点チャンスを与えてしまうかもしれない。結局、このシーンではワンタッチでボールをはたかずに前へ走ることを躊躇したんだけど、その結果僕自身が相手にボールを奪われてしまった。その意味では自分のプレーパフォーマンスは良くなかったと反省している。それでも自分はチームの勝利を逆算したプレー判断をできる選手になりたい。こういった、『クローザー』という立場で出場する場合は特にね」

 

細貝は『クローザー』という言葉で一括りにされることを良しとしていないのかもしれない。毎試合、常に同じ役割を求められているとは考えない。サッカーはそれだけ奥深く、緻密なものだ。それを理解する選手がピッチに立った時、チーム状況が劇的に変化するのも道理だろう。

 柏はGK中村航輔のビッグセーブなどで窮地を脱して勝利したが、その影では細貝が施したリスクマネジメントもあった。一方、細貝がこれまで先発でピッチに立った2試合、ルヴァンカップの大宮アルディージャ戦は0−0のドロー、そしてジュビロ磐田戦は1−2で、まだ勝ち星を挙げられていない。当然レギュラーとしてピッチに立つことを視野に入れる細貝は、貴重なアピール機会であるルヴァンカップに最大限注力するつもりでいる。

 

 「セレッソ戦から中3日で行われるルヴァンカップのベガルタ仙台戦はもちろんベストを尽くす。最近はコンスタントに試合出場することで体調も整ってきたし、過密日程の中でもプレーできる自信はある。また、日本はだんだん暑くなってきたね。ヨーロッパとはまったく異なる夏の厳しさをどう乗り越えるかも重要な課題だと思う。リーグ戦はまだ前半戦だから順位はそれほど気にしていないけど、どれだけ上位をキープして集団に食らいつけるかが今後の鍵になると思う。自分は、自らに与えられた役割を着実にこなしていく。サポーターの力を借り、全力で闘いたいと思っている」

 

少しの手応えと、まだまだ克服しなければならないタスクの両輪を抱えながら、柏と細貝の夏がやってくる。
 

 

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Column2017/05/2

【Column-042】 [太陽の下で-05] 『順応する』

 

細貝が柏に来てから1か月以上が経過した。チーム内でのコミュニケーションは日毎に深まっている。

 

「ここはドイツとは違って日本語で会話できるから、その点のストレスはまったくないよ。それに今の柏レイソルは間違いなく良い方向へ向かっている。リーグ戦で清水エスパルスには敗戦したけど、ルヴァンカップを含めて広島、神戸、大宮、横浜、新潟戦を4勝1分で乗り切った。ただ僕が先発したのはルヴァンカップの大宮戦だけで、まだチームへの貢献はあまり果たせていないんだけどね」  

 

 

それでも細貝萌に焦りは見られない。ヨーロッパから日本への帰還してからは順応する時間が必要であることを最初から理解していたし、キャンプを経ずに途中からチームに合流すれば当然スタメン争いを勝ち抜かねばならないことも承知していた。 

 

「柏に加入してからは途中出場が多くて、その辺りを懸念している人もいるかもしれない。でも、自分は今の状況を凄くポジティブに捉えている。最初から試合に出られるなんて思っていなかったしね。実際に今のチームは各選手のプレーパフォーマンスも良く、それが結果に繋がっている。例えばタニくん(大谷秀和)と(手塚)康平のボランチコンビは素晴らしい働きをしている。新潟戦では康平の直接FKが決勝点になったし、本当に嬉しいよ」  

 

 

細貝がチームに合流した当時の柏は勝ち点を積み上げられずに低迷していたが、この1か月は着実に勝利を重ねている。この間、細貝自身はチーム内の雰囲気の変化を感じていたという。

 

「最初に柏へ来て感じたのは、ガツガツした闘争心が少し足りないということ。でも今のチームはしぶとく粘り強く戦って、球際での勝負では引かず、たとえ1点しか取れなくてもそれを守りきる気迫を漲らせている。それが結果に繋がっているのは間違いない。僕も今は皆から毎日色々な事を学んでいるし、もっと学ばなければいけない」 

 

数日前にドイツ・ブンデスリーガ1部のバイエルン・ミュンヘンが5連覇を達成した。バイエルンはヨーロッパ屈指の強豪クラブで、ドイツ国内では他の追随を許さない文字通りのビッグクラブだ。一方、日本のJリーグではまだ純然たる常勝クラブは存在していない。ドイツと日本との違いについて、細貝はどう感じているのだろう。

 

「バイエルンはブンデスリーガでも抜きん出た存在。結果を見ても分かるようにね。例えば(香川)真司が在籍するドルトムントも強豪だけど、それでもバイエルンとは少し差があるように見えるよね。実際にドルトムントに所属している選手もバイエルンへ移籍してステップアップしたいと思っているわけだから。一方で今のJリーグは、どこのチームにも優勝するチャンスがあると思う。もちろん、その中でも浦和レッズのように素晴らしい選手達が集まって、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が長く指揮を執って成熟してきた素晴らしいチームもある。でも、その浦和も昨日の『さいたまダービー』では大宮アルディージャに敗戦した。実際に、浦和は毎年優勝候補と言われてきて、それでもリーグタイトルを逃してしまっている。今のJリーグに絶対的存在のチームはまだないと思う。とは言え、僕は浦和にお世話になったからわかるんだよね。浦和は間違いなく優勝候補。でも、僕たち柏にも十分リーグ戦で上位を狙っていくチャンスはあると思っている」

 

その中で、現状で自身がなかなかスタメン出場できない状況をどう捉えているのだろうか。

 

「僕はプロサッカー選手だから当然試合に出たい欲求は強い。ただ、それでも焦りは禁物だと思っている。今の自分のイメージでは夏場もひとつの勝負時期だと思っている。それまでにヨーロッパとは異なる日本の環境に完全に順応しなきゃならない。例えば日本の芝はドイツに比べてとても硬いから、油断をすると深刻なケガに繋がる恐れもある。でもそれを意識しすぎると、今度は逆にコンディションがなかなか上がっていかない。ピッチ状況については慎重に自分の身体を慣らさないといけないよね。また日本の夏の気候は要注意だよね。僕は元々ドイツへ行く前にJリーグでプレーした経験もあって、当然日本の夏の暑さを知っているけど、5年以上日本を離れてヨーロッパでプレーしていたから身体が皆と同じスピードでしっかり対応できるかは分からない。自分は暑さを苦にしたことはそれほどない方だけど、久しぶりに日本の夏の湿気や気温を体感したらどうなるのか。今は、その気候で戦えるだけの体力とコンディションを今から整えたいと思っている」

 

柏は5月に入ってからリーグ戦とルヴァンカップの予選リーグを戦う過密日程に突入している。

 

「ルヴァンカップは普段試合出場が限られている選手にとって重要なアピールの場になるから、僕のような状況の選手はむしろ、週2試合の日程は歓迎すべきだと思っている。リーグ戦でのプレー時間が限られているから、そこまで疲労などの蓄積もないしね。また、今は実践でプレーすることで徐々に良い感覚を取り戻せているとも思っている。そうすれば良いプレーがもっと増えると思うから。自分のストロングポイントを発揮して、それをチームへ還元して自分なりの『色』を出したい。今はそのための準備を重ねている」

 

焦りは禁物。粛々と職務に邁進し、彼は必ずチームの核になって、勝利に貢献することを心に期している。

 

 

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