Column2017/04/25

【Column-041】 [太陽の下で-04] 『ストロングポイントにフォーカスする』

 2017年4月22日。Jリーグ第8節。柏レイソルはホームの日立柏サッカー場で横浜F・マリノスと対戦した。細貝萌は前節のヴィッセル神戸戦に続いて途中出場。チームは2−0で勝利してリーグ戦連勝を飾った。

 3月24日の柏加入から約1か月が経とうとしている。その間、チームはリーグ戦4試合、YBCルヴァンカップ1試合を戦って3勝1分1敗の成績を残した。細貝が加入する前のチームが開幕からのリーグ戦を1勝3敗で負け越して苦しんでいたことを思えば、今はチーム状況が劇的に改善している。

 

 細貝自身はルヴァンカップ・大宮アルディージャ戦で先発フル出場した以外、リーグ戦では第6節のチームが敗戦した清水エスパルス戦では不出場に終わり、その他の3試合は全て交代出場に留まっている。

 

「少しずつピッチに立つ時間が長くなっている点はポジティブに感じている。またチーム全体としては、守るべきところでしっかり守れていると思う。今は選手個々の運動量も増えているように感じるんだよね。球際での厳しさなどは如実に高まっているから、それがチーム成績に繋がり始めているのは間違いないと思う。チームが戦う意識を保てれば状況が良くなるのは当然。僕が来た当初と今のチームの雰囲気は確実に変わって来ているように思う。その中で、自分は今、途中出場が多いけども、スタメンでピッチに立っているタニさん(大谷秀和)や(手塚)康平が素晴らしい働きをしているから、今は自分に与えられた役割を全うすることしか考えていないよ」

 

 ドイツでシーズンを送っていた細貝は今冬のウインターブレイクに少しの休息を得たものの長期的なオフ期間は取れず、他のJリーガーと比べて難しいコンディション調整を強いられている。例えば細貝よりも少し早くヨーロッパから日本へ帰還した清武弘嗣(セビージャ/スペイン→セレッソ大阪)や太田宏介(フィテッセ/オランダ→FC東京)らも、Jリーグクラブへの復帰後は怪我などもあって本格的にチームの一員として常時出場するまでに時間を要している。

 

「彼らの方が自分よりも合流が早かったから、その点では彼らと僕とでコンディションを上げるタイミングに違いがあるかもしれない。でも、個人的に今は焦りはない。何よりもチームが良い方向へ向かうことが重要で、その中で自分が何をできるか。ピッチの中だけでなく外でも、何らかの貢献を果たしていきたいと思っている。表向きはあまり分からないと思うけど、チーム内ではとても重要なことだからね」

 

 横浜FM戦で勝利した翌日、柏は試合出場しなかった選手や途中出場した選手のために練習試合を組んだが、横浜FM戦で約20分間出場した細貝は下平隆宏監督やメディカルスタッフとディスカッションした上で試合に出場せず、ランニングなどのコンディション調整のみで終えて2日間のオフに入った。

 

「自分自身は練習試合に出ることは全く問題ないと思っていた。でも、これから4月の終わりから5月の約1か月で合計9試合の連戦があるので、今の自分のコンディションを考えてくれて、練習試合をあえて回避する選択をした。僕自身ヨーロッパから日本へ戻ってからは環境の変化などもあって、内転筋の張りなど、身体面の負担が多少あった。今後は週2試合の連戦も続くので、全選手に出場チャンスが必ずある。当然僕自身もそこでチームのためにしっかりプレーしなきゃいけないし、勝利に貢献できる準備を重ねなきゃならない。だから今回はひとまず2日間のオフでゆっくり身体を休めるつもり」

 

 妻と子どもがドイツからの引っ越しを終え、ようやく家族も日本での生活が始まった。約1か月間、離れ離れで暮らし、細貝自身は日本での住居も決まらずに約1か月間はホテル暮らしが続いている。元来ホテル生活は苦にならない方だが、それでも住環境が定まれば一層職務に邁進できるし、何より愛する家族との団らんの日々があるのは精神の充実にも繋がる。

 

「以前から言っているように、僕は最初からそう上手くいくとは思っていない。今の僕はJリーグに挑戦しに来ている。その中で自分の色、自身のストロングポイントによりフォーカスしたい。あえて自分の良さを消してチームに馴染んでいくことを優先するよりも、ここではまず、自らの良さを出していく方がチームにとって重要なのかなと思う。ここに来てからは、あえてそこを意識している。それが結果的に柏レイソルにとってプラスになるのかなと思っている。時間が経てば、僕もチームにとって必要と思ってもらえる一つのピースとなれると信じている」

(了)