Column2017/12/1
浦和レッズがAFCアジア・チャンピオンズリーグの決勝でサウジアラビアのアル・ヒラルを破って2007シーズン以来10年ぶりのアジア制覇を果たした。かつて2005年から2010年までの6年間浦和に在籍した細貝萌は、Jリーグ第33節・鹿島アントラーズ戦前日のチーム宿泊所で、チームメイトの鎌田次郎と共に浦和の勇姿を見守った。
「浦和の選手やコーチ、クラブスタッフの方々の大半は知り合いだから、今回の浦和のACLでの躍進はずっと注目していた。何人かの選手やスタッフとは今でも交流があるし、皆の性格も知っているからね(笑)」
浦和が2007シーズンにACLを制したときは、細貝もチームの一員として戦った。しかし決勝第2戦のセパハン(イラン)戦は、翌年に控えた北京オリンピックのアジア最終予選・ベトナム代表戦に臨むU-23日本代表に選出されたためにチームを離脱せざるを得なかった。
「アウェーの第1戦はイランへ帯同したんだけどね。でも、それまでの戦いでもACLの厳しさは十分把握できたつもりだし、浦和のサポーターが熱いサポートをしてくれて、それがチームの後押しになったことはよく覚えている。今回の決勝も埼玉スタジアムを埋めた多くのサポーターの声援がテレビの画面からも伝わってきたし、そのような方々の思いも伝わって、チームは優勝を勝ち取れたんだと思う。例えば試合前のビジュアルサポートも本当に凄いなと思った」
一方で、細貝は浦和を含めたアジア全体のレベルが急速に上がっていることも感じたという。
「今回、決勝で浦和が対峙したアル・ヒラルは非常に質の高いサッカーをしていましたよね。彼らだけじゃなく、最近の中東のチームは実績のある監督が招聘されて、選手たちのフィジカルやスキルも格段に上がったことで洗練されたサッカーを実践しているように思う。アル・ヒラルはほとんどの選手がサウジアラビア代表なんですよね? 個々の選手の能力がとても際立っていて、浦和の選手たちも手こずっていた場面があったから強敵だと思った。でも、その中で浦和は結果を果たしたんだから、素直に素晴らしいと思う」
細貝が所属する柏レイソルも、来季のACL出場を目指している。
「前節の鹿島戦に引き分けたことでリーグ3位に入る可能性はなくなったけども、まだACLの出場権を得られる天皇杯は準決勝まで勝ち上がっているし、可能性はあるよね。ただ、今の自分はリーグ、天皇杯共に出場時間が限られていて、自分の中ではまず、試合に出ないと前に進めないと自覚している。いずれにしても、浦和のアジア制覇は自分自身にとっても励みになった。だからこそ自分のことに集中しないといけないよね」
かつて在籍したチーム、現在のライバルが果たした成果を見て、今の細貝もまた、新たなモチベーションを得た。