Column2018/03/12

【Column-058】 [太陽の下で-21]『感覚を掴む』

 

Jリーグ第3節・セレッソ大阪戦。細貝萌は第2節の横浜F・マリノス戦に続いて2戦連続で先発出場した。

細貝に与えられたポジションは小泉慶と共に組むダブルボランチだ。彼の持ち味を引き出す最適性の役割であり、これまでのプロサッカー人生で長きに渡って務めてきたポジションである。

柏レイソルは試合開始早々の4分にFWのクリスティアーノが先制点を奪って幸先の良いスタートを切る。

 

「チームとしても、個人としても、最初の入りは悪い感覚じゃなかった。その上で前半の早い時間帯に点も取れたので、落ち着いてプレーすることができたはずだった。でも、ここ最近のゲームでもそうだけど、徐々に相手にボールキープされる時間帯が増えてきて、こちらが守勢に回ることが多くなった。正直に言って、前回の横浜FM戦に比べてもチャンスを作り出す機会が少なかったように思う」

 

今季の柏は過密日程もあってチームスタイルの構築に手間取っているように見える。AFCアジア・チャンピオンズリーグのグループステージで全北現代(韓国)に逆転負けを喫し、天津権健(中国)に試合終了直前に追いつかれ、Jリーグ開幕戦のベガルタ仙台戦で敗れるなど、流れに乗れないゲームが続いたことで陣容を定めることができずに試行錯誤の状況が続いている。

 

「去年はボールポゼッション率を高めて主導権を握る戦いをできていたけども、今季は少し辛抱する時間帯が多い。ただ去年もシーズン序盤は苦しんでいて勝ち星を挙げられない時期があった。そのときは、まだ自分は柏に加入していなかったけども、今季以上に厳しい状況だったとも聞いたから、今もまだまだこれから立て直せると思っている」

 

C大阪戦の後半60分を迎える間際、細貝へ向けてベンチから交代の合図を送られ、代わりに出場する大谷秀和がウォーミングアップを終えてライン際に立ったときに相手MFソウザが強烈なゴールを突き刺した。直後に細貝は大谷と交代。チームが最も厳しい状況の中で、細貝はピッチを後にしなければならなかった。

 

「点を取られる前に交代の合図があって、タニくん(大谷)が準備している段階で失点してしまった。失点前まではチーム全体の気持ちを引き締めるという思いもあったけど、何よりも僕のような中盤の選手が試合をコントロールしなきゃいけなかった。コントロールには色々な仕方があるからね。試合前から今までの柏のサッカーとは違って、センターバックの選手からのロングボールが多くなる戦術に合わせて、もっと僕がやらなきゃいけなかったことも多いし、沢山の反省点がある。とは言え、この試合でチームがやろうとしたことは内部の人間にしか分からないから、それをうまく伝えるのは難しいんだけど……」

 

前節を経て今回が先発2戦目。チームメイトとの連係も徐々に向上し始めているが、それでも個人的な感覚としては、まだまだベストの状態を取り戻せていない思いがある。

 

「ヨーロッパで良いプレーができていたようなプレーが、今はまだできていない。以前に比べて感覚通りに動けるシーンは増えてきたけども、先発で長い時間プレーすることでミスをすることも増えてきた。でも、自分ではもっとやれると思っている。コンディションが悪いとは思っていない。コンスタントに試合に出ることで、チームとして重要な選手へと自分らしく近づいていきたい」

 

ACLとリーグを並行して戦う今の柏には、あらゆる選手たちの奮起と活躍が求められている。その中で、細貝もまた、チームに貢献すべく気持ちを高めている。