Column2018/06/16

【Column-061】 [太陽の下で-24]『同志の健闘を祈る』

 

J1リーグはロシアワールドカップ開催による中断期間に入った。細貝萌が所属する柏レイソルは5月12日に下平隆宏監督を解任し、現在は加藤望ヘッドコーチが昇格して指揮を執っている。

チーム内における細貝の立場は以前と変わっていない。リーグ戦ではベンチ外の日々が続き、先の天皇杯2回戦VONDS市原FC戦ではベンチ入りしたものの不出場に終わっていた。

チームは天皇杯で3回戦に勝ち上がった後に約1週間のオフ期間を設けた。細貝はリフレッシュを兼ねて家族、親類らと共にハワイへ旅行したという。

 

「ハワイは今回初めて行ったよ。妻と子どもと、妻の両親と。シーズン中にこういうオフ期間が取れるのは珍しいんだけど、今回はそのタイミングが合ったから思い切って。気持ちも切り替えることができたし、何よりも良い経験ができて、行って良かった。ただ、ワイキキに泊まったんだけど、あんなに日本人が多いとは思ってなかった(苦笑)。それと、旅行中に娘が誕生日を迎えた。ちなみに娘と僕は同じ誕生日だから僕もなんだけど……(6月10日)(笑)。娘はまだ2歳だから、今回のことは覚えていないだろうけど、いつか大きくなったときに写真などで振り返ってもらえたら嬉しいね」

 

つかの間の休息を経て、細貝は日本へ戻った。これからはまた、厳しいチーム内競争を勝ち抜き、柏のユニホームを着てピッチに立つ努力を重ねるときが来た。

「加藤監督になってから、練習の強度が上がった。自分としては、トレーニングの内容が厳しくなるのは良いと思っている。ただでさえコンディションを上げなきゃいけない立場な訳だから。その中で自分の持ち味を出したいと思っている」

 

ロシアワールドカップに出場する日本代表の中核には、細貝の同年代がいる。DF吉田麻也、DF長友佑都、MF本田圭佑、MF香川真司、FW岡崎慎司は2008年の北京オリンピックのU-23日本代表で共に戦ったチームメイトたちである。

 

「ハワイから日本へ帰ってきてテレビをつけたら、ワールドカップのニュースが流れていた。今の日本代表に対しては様々な意見があるようだけど、それでも大会が始まればもっともっと注目度も上がっていくと思う。特に同世代の選手たちに対しては、彼らが海外などで活躍している姿も見てきたから、心から頑張ってほしいと思ってる。それと同時に、当然あのワールドカップの舞台に立てることの羨ましさも感じているけどね。

また、選手個人に対しても様々なニュースが流れているみたいだけども、凄い選手というのは、そのような評価などを自らの力で変えていくと思うんだよね。今回の日本代表の面々にも間違いなくその力はあると思っているから、今回の自分はあくまでも観る側だけど、純粋に大会を楽しみつつ、日本代表のことは心から応援したい」

 

複雑な気持ちが交錯する中で、それでも細貝は同志たちの健闘を祈ると共に、自らの今後にも思いを馳せる。

「今現在自分の立場が厳しいことは分かっている。いろいろあるからね。チームも監督が交代するなど、厳しい状況にある中で、何かを変えなきゃいけないことを理解している。今の自分に何ができるのかを日々自問自答しているけど、何かを起こさなければ前へ進めないからね。これから中断期間が明けるまでは厳しいトレーニングが続くだろうけど、自分のことに集中して過ごしていく」