Column2018/07/1

【Column-062】 [太陽の下で-25]『韓国でのキャンプを経て』

 

下平隆宏監督(現・強化チームダイレクター)に代わって加藤望監督体制へと移り変わった柏レイソルは、ロシアワールドカップ開催によるリーグ中断期間を利用して韓国の昌原サッカーセンターで11日間の強化キャンプを張った。チームはキャンプ5日目に牙山ムグンファFC(45分3本、●3-5)、そして最終日に慶南FC(45分2本、○4-2)とトレーニングマッチを行い、細貝萌は2試合共に出場を果たしてコンディションを上げ、慶南FC戦ではゴールもマークした。

 

「個人的には、今回のキャンプはとても充実したものになった。連日練習をして、トレーニングマッチ2試合に出場した中で怪我なく終えることができたから。最初の練習試合も4人だけ90分プレーしたんだけど、僕もその中の一人だった(笑)」

 

加藤監督は今回のキャンプで自らが志向するチームスタイルの構築に着手している。それは細貝の起用法からも分かる。彼は今回のトレーニングマッチでインサイドハーフ、センターバック、サイドバックと、様々なポジションで試された。

 

「右サイドバックでプレーしたり、トリプルボランチの左前みたいなポジションで攻撃的な役割を負ったりもした。またこのキャンプの多くの時間で、センターバックでプレーした。現状では僕が今後どんな役割を担うかは分からないけど、チームが試行錯誤しながら構築を進めているのが感じられる。とは言え、ポジションがガンガン変わっていくのは僕ぐらいだけど……。良いんだか悪いんだかって気もするね。でも、僕自身の向かう方向は何も変わらないよ。今は自分のことを考えて、自分らしく前進していくことに集中していきたい。まずは自分自身が充実しないと、先につながっていかない気がするから」

 

中断期間中にはDF古賀太陽が育成型期限付き移籍でアビスパ福岡へ、そして昨季の守備陣の中核を担ったDF中谷進之介が名古屋グランパスへ完全移籍した。ディフェンダー陣が手薄なのは自明の理で、細貝がその役割を担う可能性も出てきた。

 

「まだまだ、何も分からないよ(笑)。ただ、今のチームの雰囲気は悪くないと思う。各ポジションのチーム内競争は激しいけど、それがモチベーションになって皆が向上しようという意識を保てている気がする。今回、韓国でのキャンプでトレーニングを重ねたことで身体面の強化だけでなく、精神面のリフレッシュもできた。これから中断明けに向けて、良い心持ちで臨めると信じてる」

 

柏に加入してからの細貝は常に小さな怪我に悩まされ、プレーはしていたもののコンディションを落としていた時期が長い。また試合出場が限られてからは実践感覚の欠如を痛感し、時折訪れる出場のチャンスで本来のパフォーマンスを発揮できずに忸怩たる思いを抱いてもきた。現状も彼のチーム内での立場は予断を許さないが、厳しいキャンプでの練習を乗り切り、トレーニングマッチでも試合勘を取り戻してきた彼の内面に確実な変化が訪れた。

 

「いや、最後の試合(慶南FC戦)のプレーした45分間は本当にきつかった(笑)あんな感覚までいくのは久しぶりだった気がする。それでも、今はその厳しさが後に生きると思っている。これほど充実したときを過ごせたのは久しぶり。あとは自分らしく前進していくだけだね」