Column2020/02/6

【Column-075】 [微笑みの国で-13] 『重要な役割』

 

今季、ブリーラム・ユナイテッドからバンコク・ユナイテッドへレンタル移籍した細貝萌は、チームが実施していた今年1月のタイ国内でのチョンブリキャンプ終盤、そしてマレーシアキャンプの辺りから体調を崩しながらのプレーを強いられていた。

しかし、その後は順調に回復し、2月1日には中国1部のクラブとのトレーニングマッチに出場して完全復帰を果たした。

「このチームへ加入してから初めて、90分間のゲームをプレーしたよ。それまでは熱が出たり咳き込むことがあって体調不良に悩まされていたんだけども、もう大丈夫。まあ、まだ運動をすると耳鳴りがすることがあるけどもね」

 

バンコク・ユナイテッドで細貝が任されるポジションは、どうやらボランチのようだ。しかも、多くの時間で、守備に注力した役回りを与えられそうだと言う。

「このチームは今4バックなんだけども、まずはサイドバックが前方へ上がる。そしてセンターバックが横へ広がって、僕が後方へ降りる形になることも増えると思う。相手のカウンターを受けたときは僕が中盤の位置で構えるのではなくて、リベロ的なポジションを取って最後尾で迎え撃つ感じかな。相手FWへのアタックも僕じゃなくてセンターバックがファーストアプローチして、僕は後ろでカバーする形になるパターンも時間が経つにつれて増えると思う。特にチーム戦術が機能して味方が良い形で攻撃しているときは、この役回りになっていることが多くなるだろうね」

いわば『偽リベロ』のような役割だが、守備面においてはかなり重要な責務を負うことになりそうだ。

「ボランチでプレーしているときのように相手へガッツリといってファウルで止めるだけじゃなく、状況によってプレー判断しなきゃいけないと思う。自陣後方ででプレーする機会も多くなると思うからね」

 

今季のタイリーグ1の開幕は2月15日。昨年の12月初旬にチームが始動してプレシーズンが約1か月半以上経過したが、まだ公式戦初戦までは約10日間ほどある。

「これまで僕がプレーしたJリーグやドイツ・ブンデスリーガ、トルコ・スュペル・リグなどのクラブと比べるとかなり長いプレシーズン期間を過ごしているけど、このペースでやるんだなということが分かれば、何の問題もない。これもここにいるからこそわかる新たな経験だからね。それに、長くプレシーズンを過ごすことで、チームメイトのこともよく知ることができた。各々の選手の個性や性格なども理解したし、何より、そのプレーの質については思っていた以上に高いのではないかと思っている。もちろん本番の試合になれば、またプレー内容も変わってくるんだろうけども、今のところはとても良い印象を抱いている」

 

家族も細貝がマレーシアでのキャンプを終えたのとほぼ時を同じくしてバンコク入りし、タイでの生活が再び始まった。田舎町のブリーラムから大都会のバンコクと、その街の様相は異なるが、今のところは順調に生活環境が整い始めている。

「今は娘の幼稚園がほぼほぼ決まった状況かな。今日の気温は33度で、タイはこれからどんどん暑くなっていくけど、この気候にはもう慣れてるから大丈夫。ただ、最近のバンコクは空気が悪いんだよね。ブリーラムの時もそうだったけど、バンコクは交通量も激しいし、大気汚染の問題があるんだなと改めて実感している。今はそれが悩みかな。家族がいるからね」

 

新たなるチームで臨む2020シーズンのスタートはもうまもなく。細貝はすでに、臨戦態勢に入っている。

 

(了)