Column2020/03/3

【Column-077】 [微笑みの国で-15] 『リーグ4連勝。今が充実のとき』

バンコク・ユナイテッドはタイリーグ第4節で昨季リーグチャンピオンのチェンライ・ユナイテッドと対戦して4-1で勝利した。これでチームは開幕から無傷の4連勝。細貝萌はターンオーバーで途中出場した第3節のサムットプラーカーンFC戦以外の3試合でフル出場し、チェンライ・U戦ではタイ移籍後初ゴールをマークした。

「ゴールは良い場所にいたから取れた。ゴールに関しては正直言って別に自分じゃなくても、誰かがゴールして勝てればいいんだよね。それでも80分過ぎまで1-1の状況で、自分が決めて2-1とリードできたのはかなり大きなことだった」

 

この結果により、バンコク・Uはリーグ戦で首位を堅持した。また試合内容に関しても、細貝自身は手応えを掴み始めているという。

「4試合やって勝ち点12。チーム内はかなり雰囲気が良いと思う。以前のコラムでも触れたけども、自分は今、ボランチのポジションでありながらも試合の流れの中でセンターバックのような役割も課せられている。その『ボランチ兼センターバック』というポジションが今は自分に一番合っていると感じる」

 

昨季のバンコク・Uはリーグナンバー1の得点数を誇りながら、失点の多さで勝ち星を逃していた。今季はその守備の問題を、細貝を獲得(ブリーラム・ユナイテッドからのレンタル)することで解消した形だ。

「昨年もそうだったけども、今は自分が信頼されていると感じる。去年のブリーラムでもコンスタントに試合出場できていたので充実していたけれども、今は(アレシャンドレ・)ペルキンク監督と今までにないぐらい良好にコミュニケーションが取れていて、よりプレーに専念できている。自分に与えられている役割がとてもはっきりしているんだよね。例えばサムットプラーカーン戦は先発では出なかったんだけど、これは7日で3試合というハードな日程だったのが理由だった。実際にその前の試合からは6人が入れ替わった。それも事前に監督から、『次のチェンライ戦に備えさせたいから』としっかり説明してくれた。ただ、サムットプラーカーン戦の後半に自分たちのチームがリードしていたら『途中出場させる』とも言われていて、実際に2-1になった瞬間にピッチへ立った。監督とは『2点差、3点差の状況だったら試合に出ることはない』とも話していたけどね。それは中2日で戦うチェンライ戦に備える為にも。僕はもう、若くないから(笑)。試合前からいろいろなことを話す中でしっかりと監督の思いを感じることができたし、僕も監督に対して『ターンオーバーするのは今後の若い選手たちにとっても良いことだ』と伝えたよ。そして何より、多くの選手が入れ替わった試合でチームが勝ち点3を取れたことが大きかった。今は監督、チームが自身のことを大切にしてくれる。だからこそ自分の役割に邁進できていると思う」

 

ただ、バンコク・Uはまだまだ気の抜けないポジションにいる。次節の対戦相手はバンコク・Uと同じく開幕から4連勝を達成して得失点差で2位につけるラチャブリーFCだ。しかも、このラチャブリー戦からは再び中3日、中3日の連戦が続く。また、新型コロナウイルスの発生はタイ国内にも深刻な影響を及ぼしており、今後の大規模イベント開催についても不確定要素が増えている。タイリーグでは3月の無観客試合が決まり、今後は試合延期やスケジュール変更の可能性もあり、チーム及び選手はその中でコンディションを維持しなければならない。

それでも、今の細貝には充実感が漂っている。

「今季のバンコク・Uはシーズン開幕後にチームのエースストライカーがケガをしてしまった影響で急遽ブラジル人FWを獲得したけども、それ以外の新戦力は僕ひとりだった。残りの選手は全て昨季のリーグで4位に入ったメンバーだから、僕が加わったことでチーム成績が向上していくのならば、これほどやり甲斐のあることはない。自分としては、まずは守備の選手として失点しないように努力していく。失点しなければ少なくとも敗戦することはないわけだからね。そして、今はとにかく行けるだけいきたい。リーグでアドバンテージを握りたいね。その結果、シーズンの最後に頂点へ立てるように、頑張っていきたいと思う。今年の僕は、今まで以上にやらなきゃいけない理由がある」

これから盛夏を迎えようとしている灼熱のタイで、細貝は自らの存在意義を着実に見出している。

(了)