Column2020/04/5

【Column-078】 [微笑みの国で-16] 『バンコクの今』

新型コロナウイルスの流行は細貝萌が住むタイ・バンコクにも深刻な影響を及ぼしている。

 

「最初はバンコクも新型コロナウイルスの流行がゆっくりと進行していた印象だったけども、今では毎日100人以上の方々が感染する状況になってきました。街中のレストランは休業になって、テイクアウトの販売サービスのみになりましたね。また、デパートなどの商業施設も10日ほど前から休業になったし、バーなどの夜遅くまで営業していたお店も当然営業を停止している。4月3日からはコンビニエンスストアも夜間は営業を停止しています。」

 

家族とともに現地で暮らす細貝だが、今のところ家族全員、体調面に問題はないという。バンコク市内では食材などの生活用品を購入できるスーパーマーケットは営業を続けており、商品も十分に販売されていて特定のものが品薄になる状況ではない。現状ではできる限り外出を控え、人との接触を制限することで予防に努めている状況だ。

また、タイの国内サッカーリーグであるタイリーグ1も現在は中断中だ。当初は4月18日の再開を目指していたが、現状を踏まえて5月2日再開へと延期された。その結果、細貝が在籍するバンコク・ユナイテッドは10日間の全体練習休止を発表した。

「10日間のオフ期間ということだけども、それでも再開に向けてコンディションを維持しなければならないから、この間も工夫をこらして室内でのトレーニングが続いている。例えば5人一組のグループを形成して、そのグループ毎に時間差で練習場に集まってトレーニングをする日が2日ある。また、この前はオンラインで各選手とフィジカルコーチを繋いで、それぞれの自宅でフィジカルメニューを実施したりもした。遠隔でのトレーニングになるから、その練習負荷は結局本人の意思に委ねられることになる。自分の気持ち次第で厳しくも緩くもできるわけだからね。だから、僕の場合は一層意識を高めてトレーニングに励んでいる。また、たとえオンラインでもチームメイトやコーチとコミュニケーションを図れるのは良いと思う。それによって始動した時などにチーム内の結束力も高まるからね」

 

先の見えない状況でも、細貝はいつか必ず訪れるはずの『サッカーのある日常』に向けてモチベーションを高めている。

「今はタイ国内だけでなく、世界中が深刻な状況。サッカー界で言えば、様々なクラブ、チームが同じような苦難を抱えている。この中断期間中はどのチームも様々な難しさを感じていると思う。自分に限って言えば、開幕からの4試合でチームも個人のパフォーマンスも好調だった中での中断だったから、その点は残念だった。それでも、今は逆にハードスケジュールをこなしていたことで蓄積していた疲労を取る、良いブレイク期間だと前向きに捉えようとしている。今はただ、このウイルスの流行が収まることを心から願っています。そのためには自分も日々の生活の中で予防に努めて、その行動を律しなきゃいけない。当たり前だけど外食などはもちろん、外で友人や知り合いと会う機会は当然ない。ただ、それでもウイルスというのは誰もが罹患する可能性があるわけで、だからこそ、罹患してしまう確率を極力下げる努力をしていきたい。いくら全力を尽くしても、罹るときはかかってしまうと思うから」

 

ウイルス感染の沈静化を願い、細貝は来たるべき未来へ向けて、自らが為せることに全力を尽くしている。

(了)