Diary2021/06/21
以前にも何度か書きましたが、今日は僕が2シーズンを過ごしたタイリーグの感想を少し書きたいと思います!
1シーズン目、僕はタイ東北部に位置し、カンボジアと国境を接する地であるブリーラムでプレーしました。
ブリーラムを本拠地とするブリーラム・ユナイテッドは、タイ国内では特に有名なチームの一つ。
特にブリーラム市内では普段着としてチームのユニフォームを着用している方が本当に多く、お陰様で街中のどこに行っても現地の方に『HOSOGAI!』と声を掛けて頂き、皆とても親切に接してくれました。おかげで僕も、『サッカー選手としてブリーラムに来れて本当に良かった。』と感じさせてくれる瞬間が何度もあったのを覚えています。
2シーズン目に所属したバンコク・ユナイテッドはタイの首都であるバンコクの中心部から練習場までの距離がだいぶ離れていて、世界的にも有名な現地の渋滞、それに伴う事故のリスク、そしてストレスを溜めずにサッカーに専念したい思いなどもあり、個人でドライバーを雇い、バンコク市内から練習場まで毎日1時間ほどかけて通っていました。
世の中がコロナ渦に飲み込まれる前のバンコク市内は特に渋滞が酷く、スコールが降った時などはさらに車の数が増え、練習場から自宅に帰宅するまでに2時間以上かかることもありました。とはいえ、そのときの僕は後部座席に座り、車内にクッションを持ち込んでゆっくり寛いでいるだけでしたが……(笑)。
正直、最初にタイに来るときは滞在ビザをきちんと取得できるか、少し心配していました。
でも実際は全く問題なし。ブリーラム・ユナイテッドもバンコク・ユナイテッドも、僕本人はもちろんのこと、家族のビザの手配なども常にケアしてくれていました。家族がビザの手続きでマレーシアに行かなくてはならない時などは当然のようにチームスタッフが家族に同行して手続きをしてくれましたし、日本へ帰国するときの空港への移動もチームスタッフが送り迎えをしてくれるなど、タイのクラブスタッフの方々は本当に親身になって僕たちのことを気にかけてくれました。
サッカーに関しても、こちらのチームスタッフはとても熱心に仕事に取り組んでくれていたと思います。ただ、日本と比較すると、ホペイロ(用具係)はシューズや脛当てなどの用具の管理方法をあまり理解していないのか、様々な面で結構適当でした(苦笑)。
試合会場までの移動では各選手のシューズを一つの大きな袋にただただ詰め込んで運んでいたし、練習後や試合後のシューズの手入れは基本的に全て選手自身で行っていました。自分でシューズの手入れをしなければ当然、次に履くときまで汚れたままで、太陽に照らされて乾燥したシューズでプレーしなくてはいけない状況……。。
僕自身、プロサッカー選手になってからは自分で用具の管理をする経験がそこまでなかったこともあり、最初はタイのクラブ環境にかなり衝撃を受けたのを覚えています。でも、このお陰で僕は選手として恵まれた環境にいられたことを再確認し、自身で物事を解決することの重要性を改めて考えるようにもなりました。タイに来てから、シューズを磨き、脛当てを洗い、試合会場に自らシューズを運ぶことが当然になりました。そのおかげで今まで以上にプロサッカー選手にとって不可欠な“道具”を大切にする気持ちが芽生えたようにも思っています。
ところで、かつて所属したドイツのレヴァークーゼンではチームのエンブレムと背番号の入ったバスローブが用意されていたのを今思い出しました(笑)。たしか、そのバスローブは日本の自宅で眠っているような……。日本のクラブなどはチームでバスローブを用意してるところはないと思いますが、バスローブはロッカーやプール、サウナなどの施設が充実していたドイツのクラブでは本当に重要かつ便利なものでした。いつか日本に帰ったら、あのバスローブ、探し出そうと思います(笑)。
話をタイに戻しまして……。
僕が所属していたタイリーグ1部では上位と下位のクオリティーのレベルに結構な差があり、特に国内のタイ人選手にはかなりの差があるように感じました。
タイ代表選手のほとんどが上位チームに所属していて、例えば僕が1年目にプレーしたブリーラムにはタイ代表の選手が7、8人ほどメンバーに入るときもありました。そんな中、下位であるチームからは一人も入らないというような感じ‥。
また、タイリーグは外国人枠3人、アジア枠1人、それに加えてASEAN(東南アジア)枠があります。タイリーグ全体における外国人選手の能力は決して低くはないように思います。ですが、やはり良い外国人選手がいるチームは強いですね。また、能力の高い外国人選手は金銭面でも優遇されています。ただしタイリーグはアジア枠にお金をかけるチーム、かけないチームがはっきりしていて、特にアジア枠の外国人選手に関しては一概に全ての選手の報酬が良いとは限らないみたいです。また、タイクラブが外国人選手に支払う報酬の中には家賃や車のリースなどの生活面の補助や、他にも契約金などが上積みされますが、これに関しては日本のJリーグででプレーする外国人選手と基本的に同じような待遇だと思います。
基本タイでは外国人枠、アジア枠、アセアン枠の選手たちに関する税金は全てクラブが支払ってくれるので、手取りで億を超えるような年俸を得ている選手もいます。こちらでプレーしているとどの選手がどのくらいの給料を得ているかなどザックリですがわかってきます(笑)。ここタイでの待遇面などは僕自身もかなり恵まれていたように思いますね。
ですが、ある程度高額な選手になると、タイリーグでは途中で半強制的に契約解除されることもしばしばあります。実際、ブリーラム・ユナイテッドでは僕がいた1シーズンだけで7人の外国人選手が移籍していきました。ちなみに2シーズン目のバンコク・ユナイテッドでは2人の外国人選手がシーズン中に移籍しましたが、その場合、当該選手は練習場に行くと突然別メニューを指示され、『明日からもう、お前は来なくて良いから』とチームから通達されるパターンが多いです。最も驚いたのは入団して2週間も経たず、1試合も出場せずに契約解除になる選手もいたこと。これは、日本ではなかなかないパターンだと思います。実際僕がこのブリーラム・ユナイテッドからバンコク・ユナイテッドに離れてからのアジア枠の選手はその後、1シーズンで韓国人選手、ウズベキスタン人選手、オーストラリア人選手と変わっていたのを目にし、そして今シーズンもまた新たな選手が加わっているみたいですね。
移籍に関して、これはタイ人選手にも言えますが、タイ国内のトップクラブで活躍している期間が長ければ長い選手ほど、日本からのオファー額がタイでの給料に比べて低い提示になり、日本行きを決断せずにタイに残る選手が多い傾向があります。これに関しては少し寂しい思いがあります。サッカーのプレーレベル、そしてプロフェッショナルとしての各種環境は間違いなくJリーグの方が歴史もあり、かつ整っている中で、その報酬額は、実はタイリーグの方が高い場合がある。そう考えると、イングランドのプレミアリーグやドイツのブンデスリーガなどのヨーロッパのリーグは、プロフェッショナルとしての環境が本当に整えられていますよね。もちろん全てが全てそうではないのは当然ですが。。
ところで、タイ国内では圧倒的にイングランドプレミアリーグへの注目度が高いです。
また、Jリーグでも北海道コンサドーレ札幌に所属するチャナティップ選手や横浜F・マリノスに所属するティーラトン選手がいるため、タイ国内ではこの2チームへの関心度もかなり高いように思います。タイ国内ではJリーグのこの2試合は毎試合放送しているようで、試合後には必ず多くのタイメディアが彼らの活躍を記事にしています。もちろん僕はタイ語が読めないので、その内容は全く分かりませんが……(笑)。
そして、この国でプレーする選手たちと交流を深めて気になったことの一つは、インスタグラムなどのSNSとの関わり方です。『お前、どんだけ更新するん?(笑)』と思うほどに更新頻度が高い選手が多い気がするのです(笑)。これは選手個々のブランディングの部分なので否定すべきことではないし、逆に僕には出来ないことなので素晴らしいとも思っています!
僕自身が元々SNSが得意な方ではないので、とにかく羨ましい(笑)。選手の中にはYouTubeで情報を発信する選手も数多くいるんじゃないかな。今は日本人選手もYouTubチャンネルを持つケースが増えているようですしね。
と、長々とパソコンに向かってタイリーグについて少し振り返ってみました!
また更新しますね!!
Hajime Hosogai.